就学前の勉強について

未測量の理解と比較

入会手続きを終えた保護者に、入会前にやっておいた方がいい勉強があれば、教えて欲しいと聞かれることがあります。

あれもこれもと、欲が出るところですが、あえて選ぶなら、未測量(みそくりょう)の理解と、量の保存性の理解に尽きます。
我々の住む現実社会は、量で満ち溢れています。
その量は、ほとんどの場合は、数値で表されます。
例えば、目の前に杉と合板でできた机があるとします。脚が4本あり、脚の接地面積の合計は36㎠、幅は80cm、奥行60cm、高さは86cm、天板の面積は4800㎠、重さは18kg、購入価格は3万円などです。

「ほとんどの場合」に該当しない例としては、楽器の音色、料理の味や歯ごたえ、舌触り、香り、木材の材質や木目の美しさ、感触など、物の多面的な性質があげられます。
「快適係数」や「旨さ指数」など、産業界で品質向上や管理のために、独自の数値表現を用いることもあります。

脱線しましたが、未測量指導とは、これら数値で表される様々な量を、数値化する以前の状態で指導することを指します。

下の表をご覧ください。
最後に記した時間の比較は直接比較が困難ですから、砂時計などの間接比較のツールを使うしかありませんが、それ以外の量は、直接比較することで、理解させることができます。

算数の勉強のみならず、日本語の対義語として、これらの組み合わせを日常生活の中で知ることも、小学校入学前の準備としてやっておいた方が良い内容であると言えます。

私立小学校の受験でも、未測量の理解の確認を試験項目に加えている例は少なくないと思います。

数字の練習、ひらがなの練習とあわせて、量の理解も是非家庭で行って頂ければ幸いです。

多い 少ない
大きい 小さい
長い 短い
深い 浅い
遠い 近い
太い 細い
高い 低い
重い 軽い
広い 狭い
厚い 薄い
暑い 寒い
熱い 冷たい
明るい 暗い
(時間が)長い (時間が)短い

量の保存性

子どもは、チョコレートやキャンディーなど、数個食べた後の箱の中身を、何度も確認しようとします。
大人には理解できませんが、量が変化してしまうのではないかと、不安なんですね。ですので、箱を開けて確認して、ホッとする動作を繰り返します。
算数の勉強を始めるにあたっては、外から見えなくても、箱の中の数は変わらない、という量の保存性についての理解が不可欠です。
これも、日常生活の中で、獲得しておくことをお勧めします。