共測量による分数指導(分数で量を測る)

一般的な分数指導

最初にお断りしておくと、marimentでは、「一般的な分数指導」を行っています。
本稿でご紹介する共測量による分数指導は、現時点では指導研究課題であり、教材にもこの内容はありません。
しかし、分数の量の本質に迫る指導方法であり、機会があれば、夏休みのイベントなどで取り扱いたいと思います。

小数は、1未満のはしたを、十進位取り記数法により、0.10.010.001・・・のスケールで測っていきます。
いわば、分母が10^{n}nは自然数)の単位分数\frac{1}{10^{n}}ではしたを測る方法と言えます。
子どもは、小数を分数で表す混合計算の学習単元で、この関係に気づくことができます。
これに対し、分数は、分母が10^{n}に固定されずに、自由に決めることができます。
(「分母を自由に決める」「分母を求める」という表現に違和感を持つ方がいるのは当然です。我々もそうした学習体験はありませんし、教科書にも載っていません。もしかしたら、小数の学習でも、量を測る学習経験は十分とは言えなかったのではないでしょうか。こうした背景が本稿を記すきっかけとなりますので、馴染みにくいとは思いますが、最後まで読み進めて下さい。)

量を測る前に、小学校で分数はどのような場面で登場するでしょうか。
最初は、「いくつに分けたいくつ分」という分割分数と呼ばれる指導から始めるのが一般的です。ケーキを家族で分けるなど、分母は予め与えられています。この時、分ける対象が、m^{2}や、Lなど普遍単位で表された場合を「分割量分数」と呼び、個別の量(ピザやケーキなど)を分ける分割分数と分ける場合があります。
他に、割合分数、商分数(わり算を分数で表す)などに分類することができます。
前置きが長くなりましたが、このコラムでは、分母を予め与えられた数として認識するのではなく、分母を子供が導き出す指導方法について紹介します。

共測量を求めて分数で量を測る

Step1

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測定対象の量(白いタイル)を基準となる量(グレーのタイル)で測ります。
2個分とはしたが出ます。
Step2

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基準となる量(グレーのタイル)を、Step1で求めた測定対象の量(白いタイル)のはした(=余り)で測ります。
1個分とはしたが出ます。
Step3

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Step2で求めた測定対象の量(白いタイル)のはしたを、Step2で求めた、基準となる量(グレーのタイル)のはした(=余り)で測ります。
1個分とはしたが出ます。
Step4

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Step3で求めた、基準となる量(グレーのタイル)のはしたを、Step3で求めた測定対象の量(白いタイル)のはしたで測ります。
2個分で割り切れました。
この例では、測定対象の量(白いタイル)のはしたが共測量となります。
Step5

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共測量を基準に、Step4からStep1に遡ると、共測量は基準量を5等分した量であることが求まり、分母が5と決定します。
今回の測定量は、\displaystyle 2\frac{3}{5}であることがわかりました。
基準量を1m^{2}とすると、\displaystyle 2\frac{3}{5}m^{2}という量が求められました。